
みなさまこんにちは。やーまです。
「つきかな」の発売から2ヶ月程が経ちまして、お楽しみいただけましたでしょうか?
まだの方は適度に良い季節となってきていますので、是非楽しんでいただければ嬉しいです。
個人的には、暑くて溶けそうだから寒くてたまらん冬にやる! というのも全然ありだと思っています。
そして明後日8日は、遂にFULL MOON PARTY当日でございます。
tone work'sから皆様にお届けする音楽の祭典。存分にお楽しみいただければ幸いです。
当日席もございますので、御興味のございます方はぜひお越しくださいませ。
また販売されるパンフレットには、わたしもオマケ程度ではありますがイラストを書き下ろしております。
普段全く描く機会もないキャラクターを、何故かこのタイミングで描きました。
他にもここでお馴染みのスタッフイラストがずらり!
こちらもついでに楽しんでいただければ、描いた甲斐があるかなーなんてところでございます。
イベント詳細はこちらからどうぞ。
<http://toneworks.product.co.jp/fmp/index.html>
さて今回のブログではなにをしでかしてやろうか(!?)……と色々考えていたのですが、
たまには中の人っぽく、真面目に技術的なお話でもさせていただこうかなと考えています。
少し専門色が強く、それなりに難しい内容となってしまいますが、
そんな細部にもこだわってやってたんだな~くらいに感じてもらえればと。
「難しい話、いらないよ」という方は、お待たせしますが来週のSaQ:Raブログに御期待ください。
……といいつつ、来週が本気モードSaQ:Raで更に難しかったらごめんなさい。
「月の彼方で逢いましょう」では、わたしは背景画の最終まとめを行っていました。
監修とかでなく、本当に完成した素材を最後に通す濾過フィルタ一みたいな存在ですね。
ペラペラで薄い人。(笑)
具体的には、キャラクターの立つ背景に擬似的な奥行きを持たせる、という仕掛けをしていました。
もちろん、わたし自身が描いた背景画もいくつかはあるのですが。
背景画は平面。2D。ただの一枚絵、です。
3Dソフトでモデリングして、マテリアルから素材を張り付けた元3D空間ですらありません。
そこに人物を立たせようが光を入れようが、結局平面であることに変わりはないのです。
それを立体的に配置しようとしたら……?
それこそアニメーションのマルチプレーンカメラみたいなことをしなければならないわけで、
素材量としても、作り手のカロリー的にも、到底リアルな数字ではなくなってきます。
(それでさえも立派な3D空間と比べるには恥ずかしい出来ではあるのだけれど…)
背景は、まぁキャラクターもそうですけれども、奥行きに対する情報が常にゼロです。
先に書いたように3Dのソフトで造った空間を書き出しているわけではありませんから、
Z軸、つまり奥行きに対しての情報が、例え制作過程であっても存在しません。
ですので仮物の表現とはいえ、まずは奥行きを数値化する必要がありました。
被写体にフォーカスを合わせ、遠くにあるものは大きくボケるというポートレイトの表現ですね。
こうすることで、日常のなんてことのない一枚一枚がまるでフォトのような、
それこそ実際に見えている風景のような画へと高めることができます。
ヒロインとの一瞬一瞬が大切な思い出になるわけです。

この絞りを強調するためあえてハイライトを意識的に強く入れたり、
処理が入ったあとの背景画一枚一枚に、見所となるような部分を最低ひとつは含めようと考えました。
これらが本当に上手く機能したのかどうかは分かりませんが、
画作りとしてマイナスに作用していないのなら上手くいったのかな、と思うようにはしています。
欲を言えば、キャラが近くにいる時と遠くに立っている時とでフォーカスを変えたかったのですが、
わたし以外の作業量が莫大に増加しまうことと、ディスクに収まりきらないデータ容量的な問題とで
これは諦めざるをえませんでした。
他にも空の雲を流したり、更に形を少しずつ変えてみたり、背景に波紋を伴った雨を降らせたりなど
やってみたかったことはあったのですが、現状ではまだ難しそうです。
全体のタッチとしては前作前々作よりもトーンを明るめに、コントラストと彩度をやや低めに抑えました。
全体が揃っているかといわれるとちょっと自信はないのですが、揃って………いますでしょうか?
これはキャラクターの色彩や当然世間の流れをみての調整でもありますが、
他に「つきかな」のテーマとして、タイトルにある通り月のあるシーンが多いわけでして、
一枚の絵の中での明暗よりも、物語の中での明暗……つまり昼と夜、夜であれば夜空と月空のような、
全体での差を感じてもらえるなら、そのほうが効果的なのではないかと考えたからです。
大きな物語をひとつの流れとして、広いレンジで色を感じてもらえたなら嬉しいですね。

やることも大体全てやってしまったので、次はどうしようかなと、今はアイデアを練っているところです。
現在の環境ではそろそろできることにも限界が見えてきたので、
個人的には別のこともやってみたいんですけど、映像みたいに表現の幅やタイミングが持たせられると
より一層面白くなりそうだな、と考えてみたり。
絵と音とエフェクトと……もっと大きなスケールでコントロールしてみたいです。
ゲームデザインとかやったら、未だかつてない量の困難をスタッフに叩きつけることになるでしょうけど。
いえ…嘘です。普通に平身低頭、しかし想像を絶するような困難をお願いするだろう、に訂正で。
シナリオの型がない話作りとか、今までにないですしクリエイティブで面白そう。
すでにあるものよりも無いものを作ったほうが、純粋に楽しいですから。
そういうの、ワクワクしてきませんか? ドキドキするよねっ?(笑)
ここ数年、まだ若いイラストレーターたちのイラストをみていて、
ベタと限らない画作りに興味を持っている方が増えていることは強く感じています。
実際、個人的にご質問をいただくことも過去にはありました。
拙い程度のものではあるんですけれども、「月の彼方で逢いましょう」におけるアート演出が、
少しでも物を作る職人たちの役に立てたのなら、わたし自身とても幸せなことだと思います。
